書評

深津 さくら『怪談びたり』を読んだ感想|気に入った見出し

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今回は、深津 さくら『怪談びたり』を読んだ感想をまとめていこうと思います。この本を簡単に説明すると、"怪談と結婚した女"と呼ばれる人気怪談師が色々な人に聞きまわった怪談がひたすらに書かれているものです。"家の怪" "施設の怪" "路上の怪" "野の怪" "人の怪" に分けて書かれているため、読んでいて面白い作りとなっていました。下記で、詳細を紹介していきます。

『怪談びたり』の著者

怪談びたり』を紹介するにあたり、まずは著者である”深津 さくら”さんについての紹介もしていこうと思います。色々な人に怪談を聞くような”深津 さくら”さんとは、一体どのような方なのでしょうか。それに"怪談と結婚した女"とは、どういうことなのでしょう。下記でプロフィールを載せていきます。

深津 さくらさんのプロフィール

QA
名前深津 さくら
生年月日1992年 8月 31日 (31歳) 2023年現在
出身地茨城県 水戸市
趣味・特技読書・美術
職業怪談・作家
怪談に興味を持ったきっかけApsu Shusei (アプスー・シュウセイ)さんの怪談会
Detective blog

深津 さくらさんの書籍一覧

作品名金額発売年リンク
怪談びたり1,540円2020年Amazon.jp
怪談まみれ1,540円2021年Amazon.jp
Amazon

"怪談と結婚した女"という異名をつけられたのは、コンテストに出場したときらしいです。凄いですよね。聞き専という枠を飛び越えて、語り手としてコンテストに出場する勇気。好きなものを好きなままに続けるには、足を踏み入れるしかないんでしょうか。自分も深津さんのように、○○から○○になれるような人生を過ごしたいと思えました。

『怪談びたり』を読んだ感想

それでは『怪談びたり』を読んだ感想をまとめていこうと思います。ここでは自分が気に入った見出しをピックアップして、そこに関しての感想を書いていきます。少しでもこの記事を通して、この本に興味を持ってくれると嬉しいです。

古い家の子供

それから、真史さんの家にあの子供は現れなくなった。あの子供は、家族の解釈通り、家族に迫る危機を親切に教えにきてくれていたのかもしれない。しかし真史さんには、祖母はあの子供に連れていかれたのだと思えて仕方がないのだという。

怪談びたり

この見出しの話を簡単に説明すると、自宅の一室の四隅を走り回る子供が現れて、その子供が出た翌日に何か悪いことが起こるという話でした。それから色々と悪いことが起きると予想して対処してきたけれど、ある日だけ子供の服の色が違っていて、その日に祖母が亡くなったという悲しい話。家族は”危機を親切に教えにきてくれた”と解釈していたけれど、真史さんは”連れ去られた”と思えているみたいでした。自分は都合のいい解釈のまま終わりたいなと思ったので、家族側の意見に賛同ですが、真史さんの意見もあるよなとは思いました。

古民家喫茶

お坊さんの助言通り、それ以降、店でおかしなことは一切起こらなくなった。”大丈夫”になったのだ。けれど、行き場がなくなった女性が門田さんについていこうとすることまでは、予想できなかったのだろう。

怪談びたり

この話は少し、複雑なものがありました。お坊さんは”一時的”な問題を解決することはできたけれど、”その後”の問題までは見えていなかったのでしょう。何も知らないお母さんが幽霊と話していたことは少し面白く感じましたが、もし家に入れていたらどうなっていたのだろうと考えると恐ろしいですよね。行き場のなくなった女性が今、どこを彷徨っているのか考えたくもないです。

怪談会

私は以前まで"怪談を話していると何かが寄ってくる"という常套句について、単なる脅し文句だと思っていた。けれど、取材の中で同じ意見が集まったり、怪談会が怪異の現場になる場面に何度も立ち会ったりすると、一概に脅しとも言えないのではと思わざるをえなくなってきた。せめて、害をなすものが来ないようにと願うばかりだ。

怪談びたり

この「"怪談を話していると何かが寄ってくる"という常套句について、単なる脅し文句だと思っていた」というところは自分も、そうなんじゃないかなと思っていました。でも、今回『怪談びたり』を読み進めていくうちに”本当に身近にいるんだな”と思って怖くなりました。怪談師ということもあり、話の作りが読者を惹きつけるようになっていて、読了しました。害をなすものが来ないように、自分も願っておこうと思いました。

黒い車

昨年、勇気を出して樫本さんに確認したところ、その黒い車の話が確かに実体験であり、私にこの話を伝えた記憶があるとの言葉をもらった。話の出自があきらかになり、少しほっとした。だが、そこに現れた怪異については、何もわからないままである。

怪談びたり

山道で迷った中、行き着いた先に黒い車があったという話。後日、再度確認したくて山道に行ったけれど、そんな道がなく黒い車にさえ辿り着けなかったというところも怖かったです。あったものがなかったものとして目に映ると怖いですよね。その後の話もあったりして、話を聞いた自分を疑う場面もありましたが、語り手がいることを確認できたことでほっとしたみたいです。あくまで話の出自は分かったとしても、黒い車があるのかは分からないままということで、不完全燃焼な話でした。

ファインダー

日差しを浴びながら笑顔で並ぶ喪服の人々の真ん中に、おばあさんはいなかった。連続で撮った写真の何枚目でもそれは一緒だった。おばあさんはただ、椅子の上に置かれた遺影の中で優しく微笑んでいるばかりだった。

怪談びたり

この話は少し、羨ましいなと思う話でした。というのも、写真を撮るために遺影を中心に置き、周りに喪服姿の人々が集まっていたのですが、カメラ越しに見ると遺影ではなくおばあさんがそこにいるという話でした。人々は直接的に最後の言葉を言うことができ、良いお別れなのかなと思いました。

さいごに

今回は、『怪談びたり』を読んだ感想をまとめていきました。どうだったでしょうか。色々な人から集めた怪談話を覗き見てみると、怖いものから心が暖かくなるような話もありました。この記事を通して、この本に興味を持ってくれると嬉しいです。このサイトでは引き続き、”書評”の記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。