書評

『マリエ』を読んだ感想|印象に残っている一節

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今回は、千早 茜『マリエ』を読んだ感想をまとめていこうと思います。「離婚って失敗なの?」や「恋愛と結婚って別物?」など、新直木賞作家が描く、おとなの女性の結婚と幸福をめぐる物語が綴られています。登場人物一人一人の個性があり、読み進めていくと自分がどの人物に当てはまるか考えてしまったりします。後ほど、印象に残っている一節も紹介するので最後まで見ていってください。

『マリエ』の著者

マリエ』を紹介するにあたり、まずは著者である”千早 茜”さんの紹介もしていこうと思います。数々の受賞歴や代表作を持つ方で、色々な経験をしてきたであろう著者の簡単なプロフィールをまとめていこうと思います。代表作もいくつか載せるので、気になった方は覗いてみてください。

千早 茜さんのプロフィール

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本名千早 茜 (ちはや あかね)
年齢1979年8月2日(44歳)
性別女性
活動期間2008年~
デビュー作『魚神(いおがみ)』 (2008年)
受賞歴小説すばる新人賞(2008年)・泉鏡花文学賞(2009年)・島清恋愛文学賞(2013年)・渡辺淳一文学賞(2021年)・直木三十五賞(2023年)
Wikipedia

千早 茜さんの著書一覧

作品名金額発売年リンク
しろがねの葉1,870円2022年Amazon.jp
透明な夜の香り1,650円2020年Amazon.jp
赤い月の香り1,760円2023年Amazon.jp
マリエ1,870円2023年Amazon.jp
男ともだち1円2014年Amazon.jp
魚神1,356円2012年Amazon.jp
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活動歴が2008年からということもあるとは思いますが、著書が想像以上に多いです。上記にあるものの倍以上、まだ書かれていました。もし、気になる方がいるのであればここから見てみてください。自分もいつか、これくらいの著書を持つ作家になりたいなと思えました。

『マリエ』を読んだ感想

それでは『マリエ』に書かれていた、”印象に残っている一節”を抜粋して感想を書いていこうと思います。自分が経験したことのない、「離婚」や「銀髪との出会い」「バーでの出会い」などがあり、新しい価値観を生み出すものがありました。下記で紹介していきます。

離婚とは

思わず言い返しそうになる。でも、今更言っても仕方のないことだ。もう何度も訊いたし、責めたし、話し合った。離婚届を提出した以上、森崎には私の愚痴や不満に付き合う義務はない。私たちは他人になったのだ。煩雑な手続きだっていつかは終わる。ひとつひとつ、たんたんと片付けていくしかない。

マリエ

離婚に対してのちょっとした表現が素晴らしいなと思いました。「離婚した以上、私たちは他人になったのだ」というところは、急に今まであったものがなくなるような感覚と似ているように感じました。煩雑な手続きもいつか終わるし、なんならこの関係もいつかは終わる運命だったということなんですかね。書かれていることではなく、書かれていないところまで考えるのは楽しいですよね。

ワインバーでの知り合い

きっぱりした物言いだけど、かすかに呂律がまわっていない。また飲んでいるんだなと思う。マキさんはときどき酔って電話をかけてくる。ワインバーで知り合った、親ほども年齢の違う、友人と呼んでいいのか迷う友人だった。いつも首に派手な色のストールを何本も巻いている。彼女ほど歯に衣を着せずに喋る人を知らない。

マリエ

ワインバーで出会うというのは、今の自分にとってできないことなので新しい考えを得られる文面でした。親ほど年齢の違う人を、友人と呼んでいいのか迷っているけれど、友人と書くところが可愛らしいですよね。「彼女ほど歯に衣を着せずに喋る人を知らない」という一節は、”この人以上の人と出会える自信がない”と言い換えられるように思いました。

実家からのおくり物

毎年、正月前には実家から手作りの餅が送られてくる。切り餅に丸餅、豆餅、あんころ餅と二人でも食べきれない量がやってくるので、毎回「いらないって言ったでしょ」と母と喧嘩になる。餅好きの森崎はそれを「年末の餅合戦」と呼んで笑っていた。

マリエ

結婚してもなお、実家から何かが送られてくるというのは”愛”を感じました。その愛を食べきれないから「いらないって言ったでしょ」と言い返して喧嘩になるも、「年末の餅合戦」と笑ってくる図は幸せだったんだろうなと思いました。もう幸せなんて訪れないかもしれないのにね。

ダイレクトに傷つく

昔はもっとダイレクトに傷ついていた。仕事でも、恋愛でも、友情でも、親子関係でも、日常の中のちょっとした女性軽蔑にも。でも、今は傷ついている自分に傷つく歳になった気がする。

マリエ

若い頃は小さいことにもグサグサと傷ついていたのに、歳をとるとある程度慣れてきてダイレクトに傷つかなくなるということですかね。自分はまだ20代なのでグサグサ傷つく年齢なんですけど、いつかきっと傷つかないというか傷つけない歳になるのかと思うとちょっと寂しいですね。

進展させる気になれない時期

早希はほとんど学生結婚のようなかたちで入籍した一人目の夫と別れ、不倫に疲弊しては仕事に没頭し、仕事に燃え尽きたらまた不倫に溺れるということを繰り返していた。私は森崎と出会う前で、ちょうど恋人が途絶え、なんとなく気になる人はいるけれどこちらから積極的に関係を進展させる気にもなれないという時期だった。

マリエ

学生の頃から付き合って結婚まで行くというのは素敵なことですが、社会人になって現実味を帯びてくると離婚という形をとる方々も多いみたいですね。学生は出会いの場が用意されているようなものですが、社会人になると出会いの場に参加するしかなくなってくる。だから不倫という危険な道を歩んで、仕事という真っ当なことをして、現実を忘れようとするようです。積極的になれない時期って苦痛ですよね。

さいごに

今回は、千早 茜『マリエ』を読んだ感想をまとめていきました。どうだったでしょうか。この本は、もしかすると自分が経験するかもしれないことが書かれていたので速読してしまいました。もし興味が出たのであれば、こちらから購入してみてください。このサイトでは引き続き、”書評”についての記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。