書評

『あさひは失敗しない』を読んだ感想|心に残った一節

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今回は、真下 みこと『あさひは失敗しない』を読んだ感想をまとめていこうと思います。この表紙を初めて見たとき、”美しい”と思ったのですが、読了してから再度見返してみると”こういうことだったのか”と思うものでした。この本を簡単に説明すると、「母親が娘に言っていたおまじないが娘を苦しめるものだった」です。そんな本の詳細を、下記で紹介していきます。

『あさひは失敗しない』の著者

あさひは失敗しない』を紹介する記事ですが、まずは著者について知りたい!という方のために自分が調べてきたものを紹介していきます。『#柚莉愛とかくれんぼ』で第61回メフィスト賞を獲るなど、気になる経歴があるので下記で紹介していきます。

真下みことさんのプロフィール

QA
本名真下 みこと
年齢1997年生まれ
性別女性
活動期間2020年~
職業小説家
ジャンル青春ミステリー
デビュー作#柚莉愛とかくれんぼ
受賞歴第61回メフィスト賞 (2019年)
Wikipedia

真下みことさんの書籍一覧

書名金額発売年リンク
茜さす日に嘘を隠して1,540円2022年Amazon.jp
わたしの結び目1,650円2023年Amazon.jp
#柚莉愛とかくれんぼ693円2021年Amazon.jp
あさひは失敗しない1,485円2021年Amazon.jp
「さあ、どんでん返しだ。」0円2021年Amazon.jp
舞璃花の鬼ごっこ660円2023年Amazon.jp
Amazon

ここまで『あさひは失敗しない』の著者である”真下 みこと”さんの紹介をしてきましたが、自分が一番驚いたこととして年齢が自分と近いということです。自分の数年後もこのような人物像になってないかなと理想を抱いてしまいました。

『あさひは失敗しない』を読んだ感想

それでは、『あさひは失敗しない』を読んだ感想を書いていこうと思います。ここでは特に、”ここ印象に残ってるな”という一節を抜粋してそこの感想を書いていこうと思います。ネタバレ要素がある可能性があるので、まだ見たくないという方は本を読んでから続きをご覧ください。

私が、失敗しないように

とにかくお母さんは、さりげなく、お弁当のピーマンを小さく刻んでくれるように、私の心配事をあらかじめよけたり、小さくしておいたりしてくれる人だった。私が、失敗しないように。

あさひは失敗しない

ここの表現、凄く可愛らしくないですか?勿論、話の内容的にはグチャグチャなんですけど、ここの「お弁当のピーマンを小さく刻んでくれるように」って表現が好きになりました。母親として、娘には失敗してほしくないという思いがあるからなのか、あらかじめ失敗しないように手の込んだことをしているのかなと思うと素敵だなと思いました。でも、20代になっても続けるのは過保護なのかなとも思いました。

あさひの現在地がわかるように

お母さんのスマホからあさひの現在地がわかるようにできるの。飲み会で遅くなって、終電逃しちゃったら検索して迎えに行ってあげる。

あさひは失敗しない

これに関しても、20代の娘にすることなのかと疑問を抱きました。それに、勝手にスマートフォンにアプリを入れられて監視されているのに怒りもせず、平然と過ごす娘も娘なのかなと思ったりしました。自由にさせようと思ってはくれているものの、あくまで自分の見える範囲での自由を制限されてるのかと思うと、自分的には苦痛だなと感じました。

勉強を頑張れば褒められたのは

勉強だけ頑張れば褒められたのは、大学に入る前までだった。高校生のころまでは、恋愛というのは一部の人に許された特権のようなもので、私たちは勉強さえしていれば平和に生きていられた。それが正しいことだった。だけど今は違う。大学生になって、恋愛をしている人が正しくなった。大学に入学して、私は見えない何かに負けた。

あさひは失敗しない

高校生の頃は若々しい顔をして、自分の進む道を選んでそこに向かって勉強をしていたのに、大学生になると急に「あなたのアピールポイントはなんですか?」と聞かれ始めて面倒くさくなったりしますよね。勉強をすれば結果として表れた高校生とは違って、大学生は恋愛をしないといけないみたいな風潮もあったりします。最後の一文にある「私は見えない何かに負けた」とは、つまり、勉強していなかった者たちに、なのかなと思ったりしました。

私の勘違いなのだろうか

私の勘違いなのだろうか。私がケチなのだろうか。そう思うとあまりしつこく言うことはできない。全部返したと律子は言った。そんなはずはないと思ったけれど、律子は真剣な顔をしてそう言った。自分の中の正しさが固まっている人は、自分自身にも嘘をつくのかもしれない。律子の口から出てくる言葉は正確で、正しかった。律子自身のルールでは、彼女は正しいままだ。私は私の中に正しさを持っていなくて、いつも誰かの正しさに依存していた。

あさひは失敗しない

自分の中で自分の”正しい”を持っていないと、誰かの正しいに合わせる人生になるんだなとここで学びました。だから不公平なことがあっても、相手に利益があって自分は不利益だとしても、相手は正しいと思い込んで自分を騙したりするんですかね。自分が損をするだけなのに、正しいを持てないというのは辛いですよね。

誰かにされたことを

お母さんは自分がされたことを私にもしてしまったのだ。おばあちゃんが慌てるくらいに嫌だった出来事を、私にも経験させてしまったのだ。あの倉庫の鍵を私が開けたことに、お母さんはきっとショックを受けるだろうけど、少しだけ安心するのだと思う。きっとお母さんは私を閉じ込めてどこにも行かないでほしいと願っておきながら、早く出ていってほしいとも願っているのだと思った。相反する二つの願いが、私たちの関係を難しくしているのだ。

あさひは失敗しない

お母さんがおばあちゃん(お母さんのお母さん)にされたことを、お母さんが娘にもしたという図。この負の連鎖を断ち切らすために、この娘は閉じ込められた扉の鍵を開けて自首しに行くという話です。一節にも書かれていますが、「早く出ていってほしいとも願っている」とあります。呪縛を解いてほしいという思いはあるみたいですね。なぜ、娘が閉じ込められてるのかは購入してご覧ください。

さいごに

今回は、真下 みこと『あさひは失敗しない』についての感想をまとめていきました。どうだったでしょうか。この記事を通して、”この本の内容が気になる!”と思ってもらえると嬉しいですし、”この本買ってみよう”というアクションにつながると嬉しく思います。もし購入したのであれば、読了後にこのサイトを見て、”そういうことだったのか”と思ってくれると幸いです。このサイトでは引き続き、”書評”の記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。