音楽評論

きのこ帝国『金木犀の夜』|歌詞に込められた思い

今回は、きのこ帝国さんの『金木犀の夜』の歌詞に込められた思いを想像して書いていこうと思います。2019年に活動休止したバンドですが、休止してもなお聴かれ続ける名曲を作ってきたきのこ帝国さんについても紹介していこうと思います。是非、楽曲を聴きながら読んでくれると嬉しいです。

まず『きのこ帝国』を知ろう

自分が”きのこ帝国”さんを知ったきっかけは、Fさんの著書『20代で得た知見』で見たからです。そこには"クロノスタシス"が書かれていましたが、自分は聴く中で"金木犀の夜"に惹かれました。自分が尊敬するFさんが聴いているバンドなのでどういう人たちなのか気になるということで、簡易的ではありますがまとめていこうと思います。

きのこ帝国さんのプロフィール

QA
メンバー佐藤 千亜妃
メンバーあーちゃん
メンバー西村"コン"
活動期間2007年 ~ 2019年
ジャンルJ-POP / オルタナティヴ・ロック / インディー・ロック / シューゲイザー / ドリーム・ポップ
レーベルDAIZAWA RECORDS (2012年 - 2014年) / EMI Records (2015年 - 2019年)
事務所UKプロジェクト
Wikipedia

きのこ帝国さんの楽曲

曲名リリース年Music
金木犀の夜2018年タイム・ラプス
クロノスタシス2014年はじめてのきのこ帝国
パラノイドパレード2013年ロンググッドバイ
WHIRLPOOL2012年渦になる
海と花束2018年ロンググッドバイ
Google

歌詞に込められた思い

それでは、『金木犀の夜』の歌詞に込められた思いを書いていきます。先に言っておきますが、あくまで自分の思いであって”これが正しい”というものではありません。なので、こういう考え方もあるんだなと思いながら読み進めてくれると嬉しいです。

だいたい夜はちょっと

だいたい夜はちょっと、感傷的になって、金木犀の香りを辿る

歌ネット

9月から10月にかけて、金木犀の香りがすると言われています。「秋の訪れを感じさせる風物詩」として定着している香りを、夜の感傷的な瞬間に嗅いでしまうとどうなってしまうのでしょう。朝だったり昼とは違った香りが夜はしますが、それに相まって金木犀の香りも混ざり、余計に感傷的になることがあるかもしれないです。曲の始まりから感傷的になるというのは、これから続く歌詞がどんよりとしそうな雰囲気を帯びているように感じました。

何でもないふりしても

何でもないふりしても、声が聴きたくなって、電話番号を思い出そうとしてみる

歌ネット

ここの歌詞を見ると、”この人は大切に思っていた人と話せなくなったんだな”と感じ取れます。春くらいですかね。大切に思っていた人と離れ離れになり、連絡先を交換していなかったが故に声を聴けなくなった。冒頭の歌詞は、その年の夏から秋にかけてなのでしょうか。別に好きという感情を抱いたわけではなく、ただ単に声を聴くだけで落ち着く存在っているじゃないですか。その人と話したくて、電話番号を思い出そうとしているみたいです。可愛らしいと感じました。

かける、かけない

かける、かけない。会いたい、会いたくない。いつの間にか随分遠くまで来てしまったな

歌ネット

電話番号を思い出したのでしょうか。今度は、”かけるかかけないか”と”会いたい会いたくない”で悩んでいるみたいです。色々と悩みすぎた末路に、随分遠い記憶にまで辿り着いてしまったのでしょうか。記憶は奥深くて面白いものですが、思い出したくなかったものまで残しておくのでしんどいですよね。

あの頃のふたりは.1

あの頃のふたりは、時が経っても消えやしないよね。いつか他の誰かを好きになったとしても忘れないで

歌ネット

随分遠い記憶に辿り着いた結果、あの頃の自分たちを思い浮かべているのでしょうか。あの頃は相思相愛で、お互いがお互いを好きな関係だったのでしょう。そのときの関係は時が経っても消えないよねと言いつつ、いつか他の誰かを好きになっても私を忘れないでねと思っているみたいです。

だんだん寒くなって

だんだん寒くなって、夏は通り過ぎてた。金木犀の香りで気付く

歌ネット

これは次の年の秋でしょうか。前の季節は何とか終わり、寒かった冬を超え夏を過ぎ、また金木犀の香りで気付いてしまったみたいです。匂いで毎年、同じ記憶が思い浮かばれるのは辛いことですよね。しかし、誰かの記憶に残りたいのであれば匂いをうまく扱えと教えられているように感じました。

どうでもいいふりしても

どうでもいいふりしても、きみが好きなアイスみつけて、深夜のコンビニで急に引き戻される

歌ネット

先程までは、”匂い”が記憶に残るものだと記述しましたが、”好きなもの”も何気に覚えているみたいです。ただコンビニに用があって立ち寄っただけなのに、そのアイスコーナーで過去に引き戻されるなんて辛すぎます。断ち切れない過去がある限りは、ずっと引き戻されてしまうのでしょうか。

消える、消えない

消える、消えない。泣きたい、泣きたくない。いつかきっと笑って話せる日が、来るなんて本当かな

歌ネット

夜って残酷で、消えたいと思う回数が圧倒的に増えることを歌詞にしたのかなと感じました。消えたいと思うけど消えないし、泣きたいと思うけど泣けないし、いつかきっと笑える日が来るなんて期待するだけ無駄なんですけどね。ネガティブな歌詞使いだなと感じる箇所でした。

あの頃のふたりは.2

あの頃のふたりは、怖いものなど何も無かったね。いつか他の誰かを好きになったとしても忘れないよ

歌ネット

1番は相手に思う気持ちで、2番は自分が思う気持ちを歌詞にしているように感じました。忘れないでほしいから、自分は忘れないよと言っているのでしょうか。物凄い純愛で素敵だなと感じるものですが、他の誰かを好きになることさえもないのではないかと思ってしまいました。それほどまでに、この主人公は相手のことを思い返す瞬間が多いなと思いました。

だいたい夜はちょっと

だいたい夜はちょっと、感傷的になって、金木犀の香りを辿る

歌ネット

歌詞の終わりにまで、金木犀が出てきました。曲名に『金木犀』が入っているので仕方ないと思いますが、匂いのしぶとさを表現しているように感じました。この主人公はずっとループするような、そんな人生を送るように思いました。

さいごに

今回は、きのこ帝国さんの『金木犀の夜』について記事を書かせていただきました。この記事を通して『金木犀の夜』を聴き、”きのこ帝国”さんにもハマってくれると嬉しいです。引き続き、このサイトでは”音楽評論”についての記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。