今回は、大阪2児餓死事件として実際にあった事件を元に作られた映画『子宮に沈める』を観た感想をまとめていこうと思います。映画の雰囲気や、子供の考える感情を思うと、いつの間にか涙が出てしまう作品となっています。先に注意喚起だけしておきたいのですが、トラウマを残したくないだとか悲しい思いになりたくないという方は絶対に観ないでください。では、下記であらすじやキャスト、観た感想を紹介していきます。
『子宮に沈める』のキャスト一覧
キャスト一覧
名前 | 名前 |
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伊澤 恵美子 | 辰巳 蒼生 |
仁科 百華 | 田中 稔彦 |
スタッフと主題歌
項目 | 概要 |
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監督 | 緒方 貴臣 |
脚本 | 緒方 貴臣 |
撮影 | 堀之内 崇 |
美術 | 渡辺 麗子 |
音楽 | 「子宮に沈める」イメージサウンドトラック |
『子宮に沈める』のあらすじと解説
あらすじ・ストーリー
夫に一方的に別れを告げられた由希子は子供二人と小さなアパートで新生活をスタートさせる。だが、学歴も職歴もないシングルマザーの彼女に社会は甘くなく、生きることに精いっぱいの日々。次第に生活は困窮し彼女は肉体的にも精神的にも追いつめられていく。
映画ナタリー
解説
大阪で起きた二児放置死事件を基にした、社会派ドラマ。『終わらない青』『体温』など賛否を呼ぶインディペンデント映画を発表している緒方貴臣監督が、社会から疎外され孤独に苛まれていくシングルマザーを主人公に、家庭の密室で起きる悲劇をリアルな演出で描き出す。近年、メディアで繰り返し報じられる幼児虐待問題に鋭いメスを入れる1作。
映画ナタリー
『子宮に沈める』を観た感想
ほとんど家にいない父親に対しての苛つきを覚える映画でした。これに関して、”もし自分が誰かと結婚をしたら奥さんを大事にしよう”と思わさせてくれました。いい母親として育児や家庭のことをしていたけど、日に日に家を空ける期間が増えていき帰らなくなってしまうところが妙に現実的でした。嫌なものから離れたくなるという心理と似ていて、”ストレスが溜まるもの”から距離を置きたかったのかなと感じました。子供の可愛らしい部分を見ると”可愛い”と思いますが、その裏に隠された子供の本音を考えると悲しいと思いました。映画が進むにつれて母親の服装が変わっていき、人間関係の乱れも鮮明に描かれていました。これが本当にあったのかと考えてみると、子供の気持ちを思うだけで泣いてしまいます。
お洒落に目覚めて、母親のメイク道具や洋服を着る娘の姿は可愛らしかったですが、後半から家の中が荒れていき育児も雑になるところを観ると苦しい思いになります。子供は親の、心の内が分かるような台詞があり「早く帰ってきてね」と言ったのを最後に長期間帰ってこないところは流石に胸糞でした。
『子宮に沈める』印象に残ったワンシーン
弟の死
自分的に印象に残ったシーンとして1番は、『弟の死』です。誕生日を迎え、姉に「ハッピーバースデー」と言われているけれど、もう亡くなっている姿を観て泣いてしまいました。子供にとって”死”とは、考えられないものなのでしょうか。"死"という概念がないためか、ずっと「起きて」と言っているところが悲しいです。テレビのザーッと鳴るような雑音も相まって、このシーンを観るだけでトラウマになってしまうでしょう。
食べ物がなくて
最初は母親が買い物をしてきていたのでちゃんと食べ物がありましたが、終盤に向かうにつれ食べ物が無くなっていきマヨネーズを吸うシーンがありました。小さな子供にとって”吸う”という行為は、ミルクを飲む時と同じなのでいいのかもしれません。マヨネーズ入れに水をいれて水筒代わりにしているところは子供って賢いなと思いました。弟のために作った、"粘土のケーキ"を食べているところなんかを観ると「ダメだよ。」と言ってしまいそうでした。
兄弟の愛
この映画は残酷な部分が凄く多く描かれていますが、自分的には”姉と弟の愛”は素晴らしいなと感じました。ずっと部屋の中を動き回るけど、ちゃんと寝る時は寄り添って、母親が帰ってくるシーンの前まで亡くなった弟の横で寝ているところが愛らしいと思いました。
母親が帰ってきて
母親が帰ってくるや否や、「ママ遅いよ」と言い「弟が起きないよ〜」と言うところは”怒り”という感情がない子供の可愛らしい部分なのかなと思いました。そんな無垢な子供とは裏腹に、母親は帰ってきて早々に家の掃除を始めたところが”何かあるな”と思わすシーンでした。それから、弟が亡くなったと理解できる大人の母は弟の顔に袋を被せガムテープで巻き付けるところは、流石に「お前のせいやないか」と怒りたくなってしまいました。
3人目の子供
母親は、亡くなった娘と息子のそばで、3人目であろう腹の中にいる子供を下ろすために、子宮から糸を入れました。そしてお風呂に入り、血が流れる描写があり、”残酷だ”と思ったのも束の間、全裸のまま娘と息子をレジャーシートで包むところが可哀想でした。そして最後、映像が部屋から窓の外を映すところになり、視聴者に”飛び降りたのか?”と思わせてエンドロールを迎えました。
さいごに
今回は、『子宮に沈める』を観た感想と印象に残ったワンシーンをまとめていきました。どうだったでしょうか。この映画を観ようと思った方、せめても”夜に観ないこと”と”落ち込んでいるときに観ないこと”を覚えておいてください。さもないと、絶対に鬱になる映画となっています。お気をつけて。引き続き、このサイトでは"映画評論"の記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。