今回は、桐野 夏生『もっと悪い妻』を読んだ感想をまとめていこうと思います。この本との出会いは"謎"が残るものがありました。どこの書店に行っても必ず目に入り、自分が購読していた本を読了したため新しい本を買おうかと書店に行った際も目に入り、「もう買ってみるか」と思ったのが始まりです。表紙が印象に残るのもあるのでしょうか。
『もっと悪い妻』の著者
この本はいくつものエッセイが描かれており、それぞれの登場人物に恋してしまいそうになるほど繊細な表現がされていました。こんな表現をできる著者である”桐野 夏生”さんに興味が沸いてしまったので調べてみました。下記が著者のプロフィールです。
桐野 夏生さんのプロフィール
Q | A |
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本名 | 橋岡 まり子 |
年齢 | 1951年10月7日(71歳)-2023/9/14現在 |
性別 | 女性 |
出身地 | 石川県 金沢市 |
経歴 | 妊娠中に友人に誘われ、ロマンス小説を書いて応募し佳作当選。以後、小説を書くのが面白くなって書き続けたという。 |
代表作 | 『顔に降りかかる雨』(1993年)・『OUT』(1997年)・『柔らかな頬』(1999年)・『東京島』(2008年)・『ナニカアル』(2010年)・『燕は戻ってこない』(2022年) |
デビュー作 | 『愛のゆくえ』(1984年) |
今回は、Wikipediaを引用させてもらいました。調べて見たとき、”主な受賞歴”が凄く多くてビックリしました。また、映画化やドラマ化もしていて師匠と呼びたくなりました笑。自分も本を書く立場として、こういった実績を積み上げていかないとなと改めて思いました。
『もっと悪い妻』を読んだ感想
それでは、『もっと悪い妻』を読んだ感想を書いていこうと思います。本の作り方的に6篇なので、それぞれの話の感想を端的に書いていこうと思います。少しでも感想を見て、欲しいなと思ってくれると嬉しいです。
悪い妻
バンド活動を続ける夫に妻は嫉妬してるのか憎んでいるのか。
booklog
1つ目は、バンドを続ける夫とバンドを辞めた妻のお話でした。3B(バーテンダー・美容師・バンドマン)の話が出てきて、付き合ったらいけない同士が付き合ったらこうなるのかなとも思ったりしました。特に夫のバンド仲間が妻の悪口を言うシーンなんて、本当に人間の嫌らしいところを表現してて凄いと思いました。隣人に子供を託して夫のライブを見に行き、目が合ったところで話が終わるのも読者に続きを考えさせる感じがしてよかったです。
武蔵野線
バツイチの中年男の寂しさを元妻は笑い嘘を吐く。
booklog
2つ目は、元妻の嘘を恐ろしいと思うお話でした。簡潔に話をまとめると、タクシーに乗る男性が高速道路で元妻の父に似ている男性が自転車に乗っているのを見て”すごい似てるな、本人かな、幽霊かな”と疑問に思うところから始まります。それから久しぶりに元妻に連絡してその話をすると、「そういえば亡くなったよ」と言い、武蔵野線に飛び込んだってと言ってそういう風を匂わせていたけれど最後に元妻が「嘘だよ、生きてる」と言い笑うところがありました。はい、怖いです。
みなしご
妻を亡くした男が寂しい者同志と思ってた女に息子が…。
booklog
3つ目は、元妻を亡くした男性のお話でした。今、この記事を書いてて気付いたんですけど"みなしご"って"孤児"って書くんですね。こうなると、もう一度読むと考え方が変わってきそう。妻と経営していたアパートも壊そうと思っていた男性が、そこに一人残る女性と同じ部屋で過ごすという物語。妻は先に旅立って、後は死ぬだけかと失望していた男性が少し生きる希望を見出す瞬間とか、面白いです。最後の終わり方は複雑でモヤモヤしました。
残念
社内で声をかけてきた男と結婚したものの、離婚したいほど悔やむが次の幸せを目論む。
booklog
4つ目は、一時的な好意で結婚してしまった女性のお話でした。自分はこの話を読んで、自分がビビッときた人と結婚した方がいいんだなと思いました。この話にも出てきますが、会社のエレベーターで話しかけようとした男性を気になっていたがその人は海外に仕事で行ってしまい、会社にいた男性と結婚してしまうこと。でもずっと心の中には、エレベーターで話しかけようとした台詞が何だったのかだけでした。ずっと自分を追い続けるものって、”一時的に好きになった人”ではなく”ずっと心に残る人”なんだなと思わせられました。
オールドボーイズ
単身赴任していた夫が事故死してから12年。一緒に行かなかったことに後悔はない。
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5つ目は、海外で仕事があり行った旦那がそこで亡くなったという話。”あなたが行けば事故に遭わなかったかもしれないのに”という人もおり、人間関係って難しいなと思いました。でも妻は、一緒に行かなかったことを後悔していないと。タイトル回収なんですかね。この思いが悪い妻なんだろうなと思いました。
もっと悪い妻
不倫が悪いことだと思わない妻は大事な親友だからと夫に言う。
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6つ目は、不倫をしているのに旦那には「親友と会う」というお話。これこそ、タイトル回収かな。不倫って単語は世間からいい印象を得られなくて、コソコソ男女が愛を育むものだけれどもそこの表現がすごい。自分は不倫を身近で見たことがないので、こういう風に不倫って成り立つのかなと思ったりしました。自分が得られない知見を得られる意味では、読書って素晴らしいですね。この本、悪い妻が集められてますが学びにもなりました。
さいごに
今回は、『もっと悪い妻』について感想をまとめていきました。どうだったでしょうか。自分がこの本で得た教訓は、”悪い妻とだけは出会わないように注意する”です笑。まぁ、ちょっくら期待する言動をされると好きになっちゃうんですけどね。また引き続き、書評についての記事を更新するので随時チェックしてください!