
今回は、齊藤 彩『母という呪縛 娘という牢獄』を読んだ感想をまとめていこうと思います。自分がこの本に興味を持った理由は、1件のTwitterからの出会いでした。この本について書かれた概要欄に惹かれ、すぐさま買ってしまいました。その概要欄は下記で示しているので、ぜひ最後まで見ていってください。
『母という呪縛 娘という牢獄』の著者

この本の冒頭では、著者である"齊藤 彩"さんと当事者の"髙崎あかり(仮名)"さんが出会うシーンが描かれていました。11ページで構成される序章は、中々経験できないことが書かれており、「第三者」の面会申請は勇気がいただろうなと感じました。そこでまず、著者である”齊藤 彩”さんについて気になってしまったので調べてみようと思い、調べました。
齊藤 彩さんのプロフィール
Q | A |
---|---|
本名 | 齊藤 彩 |
年齢 | 1995年生まれ |
性別 | 女性 |
出身地 | 東京 |
経歴 | 2018年3月北海道大学理学部地球惑星科学科卒業後、共同通信社入社。新潟支局を経て、大阪支社編集局社会部で司法担当記者。2021年末退職。 |
著書 | 母という呪縛 娘という牢獄 |
今回は、文集オンラインさんのプロフィールを引用させてもらいました。自分の7つ上ということで、あまり年齢が離れていないのにこれほどまでの文体を連ねることができるのが素晴らしいと感じました。
髙崎あかり(仮名)さんのプロフィール
Q | A |
---|---|
本名 | 桐生 のぞみ |
年齢 | 1986年生まれ |
性別 | 女性 |
出身地 | 滋賀県 |
経歴 | 地元のミッション系私立中・高を卒業後、同居する母・妙子の強い希望により、国公立大医学部進学を目指して9年にわたる浪人生活を経験する。 結局医学部への合格は果たせず、看護学科に進学。 |
罪状 | 死体損壊・遺棄容疑で逮捕、起訴された。 |
今回は、現代ビジネスさんのPERSONを引用させてもらいました。個人的な感想なんですけど、事件を起こしてからTwitterを更新したという記事を見て実際にTwitterを見てみると本当に更新されていて、何とも言えない感情に襲われました。
この本を知ったきっかけ

上記でも言った通り、自分がこの本を知ったきっかけはTwitterでした。Amazonの概要欄に書かれている文章を見て、ぐっと引き込まれたのを今でも覚えています。その文章を下記に記します。
深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、「モンスターを倒した。これで一安心だ。」と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。2018年3月10日、土曜日の昼下がり。滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。周辺の聞き込みを進めるうち、最近になってその姿が見えなくなっている女性がいることが判明し、家族とのDNA鑑定から、ようやく身元が判明した――。
母という呪縛 娘という牢獄 Amazon
髙崎妙子、58歳(仮名)。
遺体が発見された河川敷から徒歩数分の一軒家に暮らす女性だった。夫とは20年以上前に別居し、長年にわたって31歳の娘・あかり(仮名)と二人暮らしだった。さらに異様なことも判明した。娘のあかりは幼少期から学業優秀で中高一貫の進学校に通っていたが、母・妙子に超難関の国立大医学部への進学を強要され、なんと9年にわたって浪人生活を送っていたのだ。結局あかりは医学部には合格せず、看護学科に進学し、4月から看護師となっていた。母・妙子の姿は1月ころから近隣のスーパーやクリーニング店でも目撃されなくなり、あかりは「母は別のところにいます」などと不審な供述をしていた。
6月5日、守山署はあかりを死体遺棄容疑で逮捕する。その後、死体損壊、さらに殺人容疑で逮捕・起訴に踏み切った。一審の大津地裁ではあくまで殺人を否認していたあかりだが、二審の大阪高裁に陳述書を提出し、一転して自らの犯行を認める。
母と娘――20代中盤まで、風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。公判を取材しつづけた記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。獄中であかりは、多くの「母」や同囚との対話を重ね、接見した父のひと言に心を奪われた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした――。殺人事件の背景にある母娘の相克に迫った第一級のノンフィクション。
どうでしょうか。この文章を読むだけで"この本、気になる"となりませんか?自分はこれがきっかけで購入してしまいました。きっかけは人それぞれなので分かりませんが、もし欲しいという方がいましたらぜひお手に取ってみてください。
『母という呪縛 娘という牢獄』の構成

次は、本の構成を紹介しようと思います。
章 | 内容 |
---|---|
序章『面会の日』 | 「第三者」の面会申請・アイスブレイク・母の呪縛から逃れたい |
第一章『懲役15年』 | 黄色い物体・母と娘のLINE-2017/10/18(1)・証言の矛盾・母と娘のLINE-2017/10/18(2)・浴室で解体しました・母と娘のメール-2017/12/24・「殺人」を認定した判決 |
第二章『モンスターを倒した』 | 一転した供述・「そのとき」が来た・控訴審での告白・なぜ話す気になったのか |
第三章『母と娘』 | 湖畔の街・交錯する長針と短針・「透明な膜」の中で・父が家を出た |
第四章『詰問、罵倒、蒸し返し』 | 「アメばあ」・薬缶の熱湯を浴びせられ・ブラック・ジャックになりたい |
第五章『医学部目指して』 | 「人の上に立つ職業に」・狭き門、高きハードル・棄権できないレース |
第六章『「娘は合格しました」』 | 蜃気楼・偏差値10ポイント分のお仕置き・「肉親再会」・お母さんに回し蹴りされた・合格したって言いなさい・総絞りの振袖・「寮に住ませてください」 |
第七章『9年の浪人生活』 | 20歳になれば・血文字の反省文・母の自殺未遂・100万円を持って脱出・あかりの置手紙-2013年12月・トンネルの出口・合格と解放 |
第八章『助産師になりなさい』 | 27歳の新入生・やっと普通の母娘に・また約束を破りやがって!・母に提出した始末書・深夜3時の土下座 |
第九章『黄色いコップ』 | 母と娘のLINE・母のいない人生を生きる・370メートル先の遺体・身元発覚・あなたは嘘を言っている・否認の法廷 |
第十章『家族だから』 | 殺人容疑・父との面会・もう嘘をつくのはやめよう・雑居房の同囚・私が殺しました・判決を聞いて気持ちが変わった・罪の涙 |
終章『2度目の囚人』 | 刑務所の日常・ひんやりとした親しみ |
今回は、講談社BOOK倶楽部さんの紹介ページを引用させてもらいました。一つ一つの章と、それに関する内容が寂しいものばかりで悲しく思う回数が多い本なのかなと思いました。しかし、一瞬でも母と娘の関係になれたところを見ると”よかった”と思ったけど、すぐにその関係も失われていって心が痛みました。
『母という呪縛 娘という牢獄』を読んだ感想

まず、自分が今まで読んできた本の作りと違っていて斬新だと思いました。序章で実際に、事件を起こした当事者に会いに行き、一か八かで話をする勇気が凄いと感じさせられました。
他にも実際に著者と当事者のやりとりや当事者が当時のことを綴ったのだろう文面、母と娘のLINEやメールの生々しいやりとり、これからの思いが書かれていました。自分はこの本の”最後の一行”を読み終えて、本を閉じてまず思ったことは「髙崎あかり(仮名)さんが幸せだと思う未来になればいいな」でした。自分はそんな細やかな思いだけを募らせました。
あと感じたこととして、この本に書かれているものがノンフィクションで行われていたものと考えるだけで胸が苦しくなります。どうして母がこれほどまでに娘の未来を壊していくのか、または壊しているという自覚がないのか。どうして娘は酷い仕打ちをされても、助けを求めようとしなかったのか、または自分が全て悪いと思い込んでしまったからなのか。密閉した空間に閉じ込められて、ずっとしたくないことを強制させられるのはしんどいことだなと思いました。
『母という呪縛 娘という牢獄』の刺さるLINE

色んな意味で刺さるLINEを3つほど、紹介しようと思います。自分と親が送り合うLINEとは全然違っていて、友達でも家族でもなく”他人”と送り合うようなLINEがいくつもあり、どんな関係だったんだろうと深く考えしまう文面となっています。
刺さるLINE.1
反省も心の成長もなく、私や母に対する責任感も持っていない。~以下略~こうやって私も母も、まんまと騙されて終わり。
引用元
刺さるメール.2
自分の都合よく解釈するな!あんたが諸悪の根源なのだ。
引用元
刺さるメール.3
私に情けもかけなかったお前なんか凍え死ねばいい!
引用元
さいごに

今回は、『母という呪縛 娘という牢獄』について感想や刺さるLINE・メールを紹介していきました。どうだったでしょうか。この話はノンフィクションで、実際に日本で起きた事件です。もしかしたら、あなたの身辺でこのような事件が起こるかもしれません。何か辛いことがあるのなら、ちゃんと話す勇気を持てるように頑張ってください。また引き続き、”書評”についての記事を更新するのでたまに覗いてください。