書評

西村 亨『自分以外全員他人』を読んだ感想|第39回 太宰治賞受賞作

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今回は、西村 亨さんの書籍『自分以外全員他人』を読んだ感想をまとめていこうと思います。この書籍は、第39回 太宰治賞受賞作で、一人の人生が描かれています。必ず、誰もが持つ感情があるけれど、出さないだけでこう思っている人が多い、と共感する内容となっています。繊細な部分が自分と重なり、自分のことを書かれているのかと不安になることもあります。下記で詳細を紹介していきます。

『自分以外全員他人』の著者

自分以外全員他人』を紹介するにあたり、まずは著者の紹介をしていこうと思います。どうしても死にたいと思う人物が、なぜ言葉を紡ごうと思えたのか。なぜ、太宰治賞に応募をしたのか。書かれている内容にノンフィクションはあるのか。紹介していきます。

西村 亨さんのプロフィール

QA
名前西村 亨
生誕1977年
出身地・現住鹿児島県生まれ / 東京都在住
出身校鹿児島県立鹿児島水産高等学校 卒業
受賞歴第39回 太宰治賞 受賞
筑摩書房

西村 亨さんの書籍

作品名金額リンク
自分以外全員他人1,540円Amazon.jp

西村さんは初めて読んだ書籍『人間失格』に衝撃を受けたようです。好書好日の記事では、「今年の3月の初めごろまで死のうと思ってたんで」と書かれており、本当に死を考えていたんだなと思わせられました。太宰で衝撃を受け、太宰を目指して物書きになろうとしたが、20年余り書けなかったという過去もあるみたいです。本作は人生最期の小説になる予定だったみたいですが、受賞できて運命なのかなと感じました。

『自分以外全員他人』を読んだ感想

それでは、『自分以外全員他人』を読んだ感想を書いていこうと思います。ここでは特に、”この部分は共感する”という文章を抜粋し、それに関する感想を書いていこうと思います。個人的な意見なので、皆さんも皆さんなりの意見を持って読んでくれると嬉しいです。

飲みに行きましょう

押尾は「飲みに行きましょう」と言っただけで、私の悩みに直接触れてくれることはなかった。単に気分が滅入っているだけだと思われたのか、そういうのは酒でも飲めば忘れられる取るに足らない悩みであると言われているような気がした。

自分以外全員他人

酒を飲めば忘れられるくらいの軽い悩みだと思われた気がするのは、自分も同じ経験をしたことがあるのでイライラするな~と思いました。人それぞれの悩みがあるわけであって、それを自分も軽く捉えたから軽く済ませばいいと言われているように感じるのは不快ですよね。容易に人の悩みを軽く済まそうとするのは、相手にとっても自分にとっても不適切だと感じました。

余裕はない

二車線の道路から一方通行の道へ入ってからは比較的気が楽になったけれど、それでも脇道にさしかかるたびに子供や猫が急に飛び出してくる不安が頭をよぎり、周りの景色を楽しんだり風の匂いを感じたりする余裕は無かった。

自分以外全員他人

めっちゃ分かる、と首を縦に振ってしまうほど共感しました。自分は角から車や人が出てこないか心配なのに、友人は速い速度のまま坂を下る姿を見ていると、”心配しすぎない人って羨ましい”と思ったことがあります。勿論、心配しておいて損はないのですが、そのときの幸せを奪っている気がしてなんだか虚ろな気分になるんですよね。もう少し余裕を持ちたい、と素直に思いました。

コロナ禍と死

病気が見つかってからはなるべく暗いことは言わないよう、特に死に関する話はしないよう心がけていたけれど、コロナ禍になって死が誰にとっても身近になってからは、いつの間にか以前のようにそれらのこともつい話すようになっていた。

自分以外全員他人

その場が暗くならないように気を遣っていたのに、死が身近になった途端、その話を誰もがし出すという世間。暗くなったところで何も生むわけではないのでしなかっただけなのかもしれませんが、死が隣にいると感じると話をしないわけにはいきませんよね。平和ボケした私たちだからこそ、こういう恐怖を共に乗り越えようとするのでしょうか。

自分は悪くない

家族に少しでも多くお金を残したかったのに、そのためにずっと耐えてきたのに、どうしてそれを邪魔されなければならないのか。自分は何も悪くないのに。こうなったのは自分のせいじゃないのに。よしんば自分のせいだったとしても、こうなりたくてこうなったわけじゃないのに。たまらなく胸が苦しかった。

自分以外全員他人

自分の思い描いていたストーリーが、誰かの邪魔のせいで全て崩れていくという結末。残酷。いつも思うこととして、自分が思ったことがその通りに進むとストレスフリーだけど、ちょっとでもズレると一気にストレスフルになりますよね。一人で生きていける度胸があればそういうストレスとは無縁なのかもしれませんが、生憎この世界では一人で生きていけそうにないみたいです。

さいごに

今回は、第39回 太宰治賞受賞作である『自分以外全員他人』を読んだ感想をまとめていきました。どうだったでしょうか。他人に気を遣いすぎて、自分が損をしてしまう方にとっては共感する部分が沢山ある書籍なんじゃないかと思います。この記事を通して、この書籍に興味を持ってくれると嬉しいです。このサイトでは引き続き、”書評”の記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。

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